相場利殖法
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相場利殖・質疑応答

Q16

Q16)ネット上で相場関連の情報を色々見ていますと、「あなたも株のプロになれる」立花義正 著(同友館)という本が、相場の教科書として、よく推奨されています。
私も購入して読んではみたのですが、正直言ってあまり良く分かりませんでした。
私は相場歴数年の者でして、決して初心者ではないつもりなのですが、この本が良く分からないということは、単に私には実力がないということなのでしょうか?
それとも、他に何か原因や理由があるのでしょうか?
(他人の著作に関する質問で恐縮なのですが、同じ「技能派」の相場師に関することですので、あえて質問させていただきました。)

A)「あなたも株のプロになれる」という立花氏の著書は、技能派の相場実践家の手になる数少ない書物の一つですので、その意味では、大いに価値のある相場書の一つと言えましょう。

しかし、果たして相場の「教科書」たりうるのかという点からすれば、はっきり言って否定的にならざるをえません。

ここでは、その理由として、以下の3つの点を指摘しておこうと思います。

まず最初の点としては、同書は「体系的」な書物ではなく、例えて言えば、「体験記」風のエッセイのように執筆されている、という点です。

やはり何事を習う場合でも(特にそれが、習得するのに困難な対象であれば尚更のことですが)、上達の過程をも考慮した上で、順序正しく展開された書物こそが「教科書」たるに相応しいのです。

この点からして、同書を相場の「教科書」とするには、いささか無理があると考えます。

次に、同書は実践家の手になる相場書ではありますが、「理論」的な面に関して言えば、いくつかの「誤り」があるという点も指摘しておく必要があるでしょう。

ここでは、同書に含まれる「誤り」について、一つだけ取り上げておくことにします。
では、同書のP.271〜272から、少々長くなりますが引用してみましょう。

 「たとえば、ある月に100万円の利益をあげ、翌月は50万円の損、翌々月は300万円の利益でその次の月は100万円の損(これで差引き250万円の利益)という現われ方をする人もあれば、極端な話、ある月に1000万円の利益をあげ、翌月は950万円の損、翌々月は2000万円の利益、さらにその次の月は1800万円の損(これで前者と同じく差引き250万円の利益)というような現われ方をする人もいるでしょう。
 では、いったいどちらのほうが上手かといえば、それは一概にはいえません。
(中略)
 とにかく、人によって利益の出方には違いがあります。利益の出し方というのは、すなわち売買技法のことで人それぞれですが、表面からみた利益の出方でも、それぞれの人で違っているのです。
 前項で例を出した250万円の利益の出方でも、二人の資金量が同じ3000万円だったらどうでしょうか。損益の振幅の小さい人の方が安定しているようにみえますし、堅実な方法を身につけているようにも思えます。振幅の大きい人は不安定ではあるものの、ひとつチャンスに乗れば大儲けできるやり方のようにも思われるでしょう。
 ところが、本当はそうではないのです。両者のやり方そのものがはじめから違っていて、それぞれ自分のやり方でしか売買できないのだ、と理解するべきです。すなわち、人それぞれの個性というか性質というか、そういう問題なのです。」(以上、「あなたも株のプロになれる」立花義正 著(同友館)P.271〜272から引用)

まず、(中略)の直前部分から見てみることにしましょう。

「いったいどちらのほうが上手かといえば、それは一概にはいえません。」とありますが、そもそも、この両者のやり方を比較する大前提としての「資金量」が規定されていない以上、この段階では、いかなる結論も出せるわけがないのです。まずもって、これが第一の問題点です。
もっとも、後でこのことに気付いたのか、遅ればせながら「二人の資金量が同じ3000万円だったらどうでしょうか。」と書いていますので、まぁ、この点は大目に見ることにしましょう。

(さらに細かく言えば、この「資金量」の問題には、利益を資金に追加していくのか、それとも、利益は横に積み立てておいて、毎回同じ資金量で売買していくのか、という問題が不可欠な要素として付随してくるのですが、立花氏はこの点については全く触れておりません・・・
仕方がないので、ここでは議論を単純にするために、等賭け、つまり、毎回同じ資金量で売買していくもの、と想定しておきましょう。)

では次に、両者の資金量が同じ3000万円だとして、立花氏の結論はと言えば、結局、両者の「個性」の問題なのであり、どちらも正しいのだ、という趣旨のことを述べておられます。

しかし、残念ですが、この両者で言えば、後者のやり方は明らかに「ダメ」と評価すべきです。

立花氏のこの例では、(都合良く)利益が出た後に損を出す、という想定になっているために、この後者のやり方の問題点が分かりにくくなっています。しかし、現実にはこの逆のパターン(つまり、損・利益・損・利益)も頻繁にありうるわけですから、そうした場合をも考慮した上で、この人のやり方を評価する必要があるわけです。

では、ここでは、そうした逆のパターンが発生したとしましょう。その場合、この後者の人は、3000万円の資金で始めて、まず初月は950万円の損を出し、次月は1000万円の利益、その次の月は1800万円の損で、最後が2000万円の利益、というパターンになるわけです。

そうすると;
初月には、3000万円の資金で950万円の損ですから、31.7%のマイナス。
次月は、減少した2050万円の資金で1000万円の利益を上げたのですから、48.8%のプラス。
その次の月は、(等賭けとして)3000万円の資金で1800万円の損ですから、60%のマイナス。
最後の月は、またまた減少した1200万円の資金で2000万円の利益をあげたのですから、166.7%のプラスとなるわけです。

どうですか?お気付きになりましたか?

「損」のパーセンテージで見ると、初月でも30%以上という高率のマイナスになっていますが、3ヶ月目にはなんと60%もの損失なのです!(これがヘッジファンドならば、まず、契約条項に則り「運用停止」になる状態でしょう・・・)

反対の、「利益」の出し方にしても、2ヶ月目の48.8%というのも「異常」に高すぎます。つまり、ほとんど「継続的」に実現していける利益率ではない、ということです。ましてや、4ヶ月目の166.7%などは論外です。

このような結果をも招来しかねないような資金運用のやり方を取り上げて、それを人による「個性」の問題だと片付けてしまうのは、はっきり言ってヒドすぎます。(いくら「極端な話」と断ってはいても、この例ではあまりにも極端すぎます。仮にも実践家が執筆している以上は、例をあげる場合でも、実践的な見地から見てもおかしくないような、妥当かつ現実的な例を示すべきです。)

では何故、立花氏はかくも珍妙な結論を出してしまうことになったのでしょうか?

それは要するに、マトモな「理論」が無いからなのです。

この立花氏の「間違い」のポイントとなるのは、ズバリ以下の部分です。つまり、立花氏は「利益の出し方というのは、すなわち売買技法のこと」と述べておられますが、これが「間違い」なのです。

「利益の出し方」を評価するためには、まずその前提として、最初に「資金量」が決定されていなければなりません。(後に思い出したとは言え、立花氏は、まずこの点を忘れていました。)

そして、「利益の出し方」を云々するためには、その次に、「危険率」という概念を登場させねばならないのです。

立花氏の論証にあっては、この「危険率」の概念は完全に忘れさられているのです。これが致命的な理論的誤りなのです。

「売買技法」を云々できるのは、上記の「資金量」と「危険率」の問題を論じた後のことなのです。

ですから、この両者のやり方を比べる場合、「売買技法」の違いとして扱う前に、まずもって両者の取っている「危険率」の程度を云々しなければならないのです。それが「理論」的に「正しい」考察の仕方になるのです。

そうすれば、この両者のうち後者にあっては、そもそもあまりにも「危険率」が「高すぎる」という結論が出てくるのであって、決して「個性」の問題とかで許される話ではなくなってくるのです。

立花氏は「技術系」のご出身とのことですが、こと「相場利殖」に関する限りは完全な「職人」肌の方のようで、もちろん、立花氏ご自身の実践にとってはそれでも一向に構わないわけですが、他人に相場利殖の説明をするとなると、やはり一定水準の「理論」がなければマトモな解説は不可能になってくるわけです。

(もっとも、「技能派」の相場師達は、特にこの「資金管理」の領域の理論的考察が(あきれてしまうほど)苦手のようでして、これは何も立花氏に限ったことではありませんので、仕方がないと言えばそれまででしょうが・・・)

では最後に、立花氏の同書を相場の「教科書」とするのは適当ではない、とする3番目の理由ですが、氏のやり方は、「短期」の「技能派」のやり方ではありますが、かなりクセが強いやり方なのだ、という点です。

先に「Q6」でも述べましたが、本来「短期技能流」は「中期技能流」の応用的な流儀なのです。

従いまして、本来的には、まず「中期技能流」を習得し、その後に、もし「短期」の方が自分に合っていると思ったならば「自然」にそちらに移行していくというのが、より素直な上達プロセスと言えましょう。

これに対し、同書を読んだ限りでは、立花氏の場合にはこのようなプロセスは通過せずに、いきなり「短期」の売買に入られたようです。

確かに、個人的にはこの方法でも構わないとは言えますが、その結果として、立花氏は非常に「難度の高い技法」を使うようになってしまったわけです。(この「難度の高い技法」に関しましては、ここではこれ以上の詳述は避けることにしますが、多くの相場師は、もっと難度の低い方法を使っている、とだけは指摘しておきましょう。)

加えて、「職人」肌の「独学」タイプですから、相当に個性の強い売買法を身につけたわけですが、この個性の点は個人の問題として許されるとしても、これが上記の「難度の高い技法」とミックスされて現れているところに、非常な難しさがあるわけです。

実際、同書に記載されている「売買譜」を見ても、これを理解できるのは、「勝ち組」レベルの「技能派」の相場師に限られます。つまり、「負け組」の人では、たとえ「上級者」であっても、ほとんど理解不可能でしょう。
特に、立花氏の謙虚な性格を反映してか、チャブついた場面の売買譜などが載っていますので、尚更のことです。

要するに、すでにして「勝ち組」に入っているほどの人でないと読み込めない本なのであり、かつ、相当に個性的な売買技法を展開しているわけですから、やはり同書を相場の「教科書」とするのは、いささか以上に無理があると思います。

ここで念のために確認しておきますが、立花氏の同書は相場の教科書には向かない、とは言っても、決してそれは立花氏の相場師としての才能等を批判しているものではない、ということです。

実際、同書を読み込みますと、通常ならば意識的に行なわなければ出来ないことを、立花氏は、ほとんど無意識的なレベルで遂行しているかのように相場の波を泳いでいますが、これなどは、よほど類稀なる才能がなければなしえないことなのです。その意味で、うらやましいほど相場利殖の才能に恵まれた方なのであり、だからこそ、そうした才能を持たない多くの人達にとっては、決して良い教科書にはなりえない、ということなのです。

以上述べてきたことからお分かりのとおり、あなたが同書を「良く分からない」というのも当然のことでして、その意味ではあまり落ち込むような問題ではありません。

確かに、ネット上等で同書を賞賛し相場の「教科書」として勧めているような意見は散見されますが、基本的には「ハダカの王様」と同じ論理でしょう。つまり、皆が良いと評価している本だから、自分も同様の意見を言っておかないと世間体に関わる、というようなことなのです。

もし、立花氏の同書をある程度なりとも理解出来る水準の人ならば、たとえ理論的な批判は不可能であっても、少なくとも本稿のごとき結論は(たとえ直感的ではあっても)出せるはずですので、結局、同書を「教科書」として勧めている人達の多くは「中級」以下の人達と評価して構わないでしょう。

(この「中級」レベルの人達と言うのは、未だ「負け組」ですし、もちろん相場利殖について人様に対し講釈出来る水準ではないのですが、善意・悪意を問わず、ネット上等では一番目立っている人達です。要するに「初心者に、よってたかってウソ教え」の世界というわけです。十分に注意してください。)

さて、もしあなたが、「短期」の「技能流」に興味がおありなのでしたら、まずは「中期技能流」から習得されることをお勧めします。

理由は先述したとおりですが、あと一点付け加えるならば、自分に「短期」が合っているのか、あるいは「中期」の方が良いのかは、実践してみないと分からないという点です。
さらに、一般的に言えば、「中期」の方が汎用性が高い、すなわち、より多くの人に「中期」の方が向いているだろうという点が挙げられます。

そういった意味でも、まずは「中期技能流」の習得をお勧めしますが、もしどうしても「短期技能流」から始めたい、とおっしゃるならば、市販の相場書の中で何とか「教科書」として勧められるのは、立花氏の本ではなく、「脱アマ相場師列伝」林輝太郎 著の中にある「自信ある自己流」の章に書かれているやり方です。

このやり方は、決して「自己流」などと評すべきものではなく、むしろ、かなり基本に忠実な素直なやり方と評価しても良いくらいの方法なのです。

もちろん、色々な点でもっと改良の余地もありますし、また、純粋に「技能派」と言える方法ではないのですが、初級者等にもマネのしやすいやり方なので、立花氏の同書よりは、こちらの方が良いと思います。

但し、その章の記述の中にある「資金管理」に関する部分は、理論的に誤っていますので注意してください。

「Q10」でも述べましたが、「証拠金額」を「資金管理」に持ち出してくるのは完全な間違いです。
林輝太郎氏は「実動資金」という概念を使って「資金管理」に関する説明を展開しておられますが、「実動資金」とは「証拠金額 X 建玉枚数」のことであり、内に「証拠金額」を含んでいる以上、「資金管理」の説明には使えない概念だからです。


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